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記憶に刻まれたサウンドノベル「かまいたちの夜」

記憶に刻まれたサウンドノベル「かまいたちの夜」
ハレルヤ

みなさんはサウンドノベルを体験したことはありますか?

冬になり周りの空気が冷たくなると、自然と「かまいたちの夜」を思い出します。雪に包まれたペンション、静まり返った夜、遠くで鳴る風の音。雪があまり降らない地域で育った自分にとって、雪が降り積もるペンションを舞台にしたこの作品は、どこか幻想的で自然と心を掴まれてしまいました。

かまいたちの夜とは?

チュンソフト(現スパイク・チュンソフト)が開発したサウンドノベルゲームで、プレイヤーが選択肢を選びながら物語を進めるタイプのアドベンチャーです。物語の舞台はペンション「シュプール」。スーパーファミコン版とPlayStation版の2種類が発売され、その後もゲームボーイアドバンス版やリメイク版など派生作品が生まれました。続編としては2と3が出ています。

タイトルかまいたちの夜
開発チュンソフト(現スパイク・チュンソフト)
ジャンルサウンドノベル
対応機種スーパーファミコン/PlayStation、他(省略)
発売日SFC:1994年11月25日、PS:1998年7月16日
価格SFC:11,400円(税別)、PS:4,800円(税別)
舞台ペンション「シュプール」
モデル:長野県白馬村のペンション「クヌルプ」
概要        閉ざされた雪山のペンションで起こる事件を描いた作品。
選択肢ひとつで物語が大きく変わっていく構造が特徴です。
何度プレイしても“新しい恐怖”や“別の真相”に辿り着く魅力があります。

かまいたちの夜の魅力

緻密なストーリー分岐とバリエーションのある展開

最初は推理小説のように淡々と進むのに、選択肢を少し変えるだけで物語が大胆に変化します。惨劇へ向かうルート、感動へ向かうルート、笑いに振り切ったルートまで、本当に多彩。すべての結末を見たくなる「サウンドノベル」の醍醐味が味わえる作品でした。

初めてスーファミ版で遊んだ時に、泊まりに来ていた友人もヘッドフォンをしながら夢中になってゲームをしていたのを思い出します。子供の頃は雪国に憧れがあったこともあって、ペンションで繰り広げられるこのストーリーにより一層魅了されたんだと思います。前作の「弟切草」もかなり印象に残っていますが、「かまいたちの夜」は一番好きなサウンドノベル作品です。

実写ベースの空間に、シルエットの人物像

当時としては実写のような見え方というのも新鮮でした。スキー場、ペンション、ペンション内部と、リアルな場面が実写をベースに描かれていました。当時はペンションに滞在したことがなかったので、ペンションそのものにもとっても魅了されたことを覚えています。

また登場人物たちが全員シルエットだったのもこの作品の大きな特徴です。背景との良いコントラストになっている点、作品を読む人がそれぞれで人物像を想像できる点、人物に余計な先入観を持たせないなど、アイデアとしてとても秀逸でした。かまいたちの夜といえばこの演出ですね。

印象的なBGM、臨場感のあるゲーム体験

ストーリーに沿ってシーンを盛り上げるBGMが展開されます。画面を見て、文字を読んで、耳に入ってくるBGM。実際に自分がその場にいて、登場人物たちの感情がダイレクトに伝わってくるような臨場感のある音楽もたくさんあります。

雪景色を思わせる「introduction」の切ない旋律。雪が空中を舞うような、楽しそうな、でもどこか切ないそんなBGMです。また終盤で流れる「レクイエム」。「introduction」から繋がりつつも不穏な空気へ変わっていく変化を見せてくれます。サウンドノベルという名前のように、BGMの存在がかなり大きいゲームでした。

現実とリンクする舞台設定

ペンション「シュプール」は架空の存在ですが、モデルとなったペンション「クヌルプ」は実在します。学生時代、社会人、家族と一緒に何度か足を運んだことがあります。ペンションまでの道のり、玄関、リビング、階段を抜けて入った後の各客室。一歩足を踏み込めば、どこを切り取ってもかまいたちの夜なんです。

オーナーのご夫妻もとってもよい人たちで、細かな気配りをしていただき、美味しい料理も出していただきました。ゲームに出てきたミシシッピマッドケーキも実際にいただけます。実際にこんな素敵なペンションがあったからこそ、リアルな描写ができたのかもしれませんね。

好きなストーリー

ここからネタバレを含みますのでご注意ください。

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雪の迷路の先で待っていた惨劇

スキー場で迷って戻ったペンションが、すでに静まり返った“惨劇の場”になっている衝撃。最初にこのルートへ入ったときの息が詰まるような恐怖は忘れられません。安心できるはずの温かいペンションが、まったく温度感を感じさせない静寂なシーンに包まれている。聞こえてくるのは吹雪の音だけ。そこに響く誰かの悲鳴と忍び寄る足音。バッドエンドにしかならない終わり方でした。

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疑心暗鬼な末のストック

真理にストックで刺されるというショッキングな展開。ここに至るまでにペンション内で次々と人がいなくなり、疑心暗鬼の中残ったのは透、真理、可南子の3人。不可抗力で可南子をやむなく殺害してしまった透に襲い掛かった悲劇でした。恋人が“恐怖そのもの”に変わる瞬間の心理描写が強烈でした。最後に残ったのは犯人と真理のみ、彼女を心配しながら命を落としていく、そんな透の気持ちが切なすぎる終わり方でした。

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怪奇現象に襲われる

真理が実の母美幸の悪霊に憑依されるという、推理ルートとは違う異質な恐怖。ミステリーというよりホラーの展開となりまったく別物の怖さが展開されました。小林さんが美幸を殺害したこと、美幸が真理が母親であること、美樹本が美幸の弟であることなど、設定も追加されています。特に真理が憑依されているシーンが恐ろしくも切ないシーンでした。

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伝説のスパイ争奪戦

シュプールが伝説のスパイの争奪戦の舞台となったシナリオ。登場人物がスパイまみれになっており、次から次へとスピード感のある展開が続きます。スノーモービルのシーンは印象的ですが、なんといってもラストの銃声が本当に切ない。素晴らしいシナリオでした。

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Oの喜劇、おかまたちの夜

このシナリオはなんといっても田中さんの巨大リボン姿です。いつもの食堂のテーブルに、どーんと巨大なリボンをつけたインパクトのあるシルエット。めちゃくちゃ笑った記憶があります。このシーンを見るだけでも価値があります。

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ピンクのしおり、他

全エンディングを見ると出現するピンクのしおり、チュンソフトの陰謀、そして不思議のペンションとさらにシナリオは続いていきます。ピンクのしおりはかなり有名になったと思いますが、これらはいずれも出現させるのは大変だったと思います。特にスーファミ版はフローチャート機能がなかったので、各エンディングの分岐をチェックしながらやらないといけません。このあたりは完全に忘れてしまっているので、改めてPS版をやり直して楽しみたいと思います。

秀逸なBGMたち

「かまいたちの夜」の世界観を作り上げた重要な要素が音楽です。ここでは3つのサウンドトラックをまとめています。

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スーパーファミコン版サウンドトラック

発売日:1994年12月1日
全38曲

  1. かまいたちの夜
  2. Introduction
  3. ゲレンデの恋人たち
  4. 花のOL三人組
  5. わしが香山や!
  6. ペンション・シュプール
  7. 不快
  8. 遅れてきた客
  9. 悪夢
  10. うろつく殺人犯
  11. 変な場面
  12. 懐かしいあの風景
  13. 疑心暗鬼
  14. ひとつの推理
  15. レクイエム
  16. 俊夫の怒り
  17. 闘い
  18. 解決
  19. 混乱
  20. 長い夜の始まり
  21. せまりくる恐怖
  22. 意外な始末
  23. 殺人鬼
  24. 遠い日の幻影
  25. 琥珀色の三日月
  26. フランス情報部
  27. 伝説のスパイ
  28. mission
  29. 追跡
  30. 失くしたものは…
  31. 雪の中の進路
  32. LOVER
  33. ノスタルジア
  34. 追憶
  35. 悪霊
  36. Oの喜劇
  37. 血のついたメッセージ
  38. すてきな宝物
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プレイステーション版サウンドトラック スペシャルアレンジパック

発売日:1999年1月20日
全14曲

  1. Introduction
  2. ゲレンデの恋人たち
  3. ペンション・シュプール
  4. 懐かしいあの風景
  5. レクイエム
  6. 長い夜の始まり
  7. かまいたちの夜
  8. せまりくる恐怖
  9. 伝説のスパイ
  10. Final Mission
  11. LOVER
  12. 追憶
  13. 遠い日の幻影
  14. 懐かしいあの風景(ピアノ・ヴァージョン)
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30周年記念サウンドトラック アニバーサリーアレンジパック

発売日:2024年
全20曲

  1. Overture
  2. Introduction
  3. かまいたちの夜
  4. ゲレンデの恋人たち
  5. ペンション・シュプール
  6. 花のOL三人組
  7. わしが香山や!~男の大往生~
  8. 遅れてきた客
  9. 琥珀色の三日月
  10. 悪夢
  11. 変な場面
  12. ひとつの推理
  13. レクイエム
  14. 俊夫の怒り
  15. 失くしたものは…
  16. 長い夜の始まり
  17. 解決
  18. 懐かしいあの風景
  19. すてきな宝物
  20. 遠い日の幻影


お気に入りはやっぱり「introduction」と「レクイエム」ですが、テレビ番組でもよくつかわれていた「変な場面」「疑心暗鬼」や、衝動が伝わってくる「俊夫の怒り」、オルゴールパートの雰囲気が最高な「すてきな宝物」と名曲ぞろいですね。

「かまいたちの夜」に関するサウンドトラックは3枚持っているのですが、一番よく聴いていたのは「新かまいたちの夜 11人目の訪問者」に収録されていた「introduction~レクイエム」です。

ゲーム自体はやったことはなかったのですが、iTunes Storeで配信されていたので知っている曲名のこの1曲だけを購入しました。introductionの切ない流れからレクイエムへと美しく繋がっていて、5分強もの間ずっと聴くことができます。クヌルプからの帰り道、この曲をループしながらドライブしたことを今でもよく思い出します。

かまいたちの夜を飾る

かまいたちの夜のサントラを集めながら、いくつか他のグッズも購入してみました。スーファミ版とPS版のグラフィックはやっぱりいいですね。

サウンドトラック×3
サウンドトラック、スペシャルアレンジパック、アニバーサリーアレンジパックの3つ。特にスペシャルアレンジパックの表紙がめちゃくちゃ気に入っています。

かまいたちの夜 30th ANNIVERSARY BOOK
公式アニバーサリーブック。紙面に加えて「美樹本洋介」のアクリルスタンドと、ペンション「シュプール」の鍵をイメージしたホテルキーホルダーがついてきます。「美樹本洋介」のアクリルスタンドは書籍内に封印しています。

透、真理のアクリルスタンド
ゲーム画面で出てくる二人のシルエット型アクリルスタンド。主人公枠なので二人を揃えてみました。一気にかまいたちの夜らしくなりますね。

ペンション「シュプール」のキーホルダー
公式アニバーサリーブックの付録のキーホルダーです。ホテルの鍵らしさが表現されていてファン心をぐっとつかむアイテムです。

ペンション「クヌルプ」のステッカー
クヌルプで購入したステッカーです。カワセミのイラストにクヌルプの文字が入っています。

ペンション「クヌルプ」の楽しみ方

ゲームの舞台のモデルとなったペンション「クヌルプ」は白馬村に実在します。私は過去に3回訪問したことがあります。ゲームで見たあの世界、ぜひ一度足を運んでみてください。

名称ペンション「クヌルプ」
公式サイトhttp://www.knulp.jp/
所在地長野県北安曇郡白馬村北城9343
周辺環境白馬五竜スキー場・白馬47・八方尾根にアクセス良好
訪問時の注意事項冬は積雪量が多くスタッドレス必須

楽しみ方❶:リアルかまいたちの夜
ペンション「シュプール」の舞台となったところです。外観から内装までかまいたちの夜の世界が広がっています。ゲームで見た場面や印象的なシーンなど、しっかり目に焼き付けて楽しみましょう!個人的には談話室正面、談話室から続く階段、階段から見下ろした談話室、猫のジェニーがいた物置の廊下がおすすめです。
※撮影する場合は、オーナーの方に確認をしてください。基本的には「他の宿泊客が写り込まないようにする」「他の宿泊客に迷惑をかけない」の2点になると思います。

楽しみ方➋:夜の静けさを味わう
熟睡する人には難易度が高いですが、可能であれば深夜に目を覚ましてトイレまでいきましょう。部屋を出て、廊下を渡り、階段を下りて、お手洗いに行く。みんなが寝静まった中、暗い中を歩いていくあの緊張感。ゲームのミステリー編そのものだと思います。決して騒がずに・・・。

楽しみ方❸:クヌルプの食事を楽しむ
クヌルプに宿泊するときは夕食と朝食、どちらもぜひ楽しんでみてください。オーナーご夫妻の人柄もあいまって、非常に美味しく、心地よく食事をすることができます。もちろん、ゲームでも登場した「ミシシッピマッドケーキ」も食べることができます。食堂にはゲーム関係者の方の寄せ書きなども飾られているので、ぜひ目を通してみてください。

楽しみ方❹:雪景色を満喫する
過去に3回訪問しましたが、2回は積雪、1回は積雪なしでした。やっぱり雰囲気を楽しむには積雪の中、できれば降雪ありを期待したいところですね。深く積もった雪道を進みながら、クヌルプの姿が見えたときは感動しました。宿泊している部屋から見える外の雪景色もとっても素敵です。このあたりは雪深いので、ペンション周辺の観光地も素敵な雪景色を楽しむことができると思います。運転に気を付けながら雪を堪能しましょう。

寒い冬になり、雪が降りだすと「かまいたちの夜」を思い出します。静かな夜、温かみのある淡い明かり、窓の外に降り積もる雪。かまいたちの夜の空気感が、ふとした瞬間に脳裏をよぎります。ペンション「クヌルプ」には、オーナーご夫妻が元気なうちにまた何度か訪問したいと思います。ゲーム作品として、また冬の時間を過ごす場所として、どちらも思い出深い存在です。

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平日はテレワーク主体でIT業界で働いています。週末は自宅で趣味を満喫したり、季節が感じられるスポットに車でドライブすることが多いです。アイコンはスーパーマンとMr.Childrenをテーマにしています。更新頻度は不定期になりますがよろしくお願いします。
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