音楽レビュー 「KIND OF LOVE(Mr.Children)」

恋に夢中で、ちょっと不安定だったあの頃の音楽。
Mr.Childrenが届けてくれた2枚目のアルバム。前作『Everything』よりも少しだけ大人びて、でもまだ素直さと初々しさが残っていて。恋や希望、不器用な感情を、真っすぐな言葉と音で綴ったアルバムです。今聴いても、当時の彼らのまなざしや空気感が、すっと心に届いてくるような気がします。
アルバム情報
アーティスト
Mr.Children
アルバム名
KIND OF LOVE
リリース日
1992年12月1日
収録曲
- 虹の彼方へ
- All by myself
- BLUE
- 抱きしめたい
- グッバイ・マイ・グルーミーデイズ
- Distance
- 車の中でかくれてキスをしよう
- 思春期の夏~君との恋が今も牧場に~
- 星になれたら
- ティーンエイジ・ドリーム(I~II)
- いつの日にか二人で
全曲レビュー
虹の彼方へ
アルバムの始まりを告げる、ポップで軽やかな1曲。夢や希望をまっすぐに描いていて、まるで走り出す準備をしているような高揚感があります。初期のMr.Childrenらしい無邪気さと真剣さがミックスされたポップソングです。
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All by myself
静かな孤独を歌ったミディアムテンポのバラード。誰かのことを想ってるのに、ひとりでいる時間がどうしようもなくて。誰とも分かち合えない気持ちを、やさしく言葉にしてくれています。「抱きしめよう 熱い想いを」の後の展開はどうしようもなく気持ちが高まります。
お気に入り:
BLUE
どこか憂いを含んだ“青さ”が印象的なナンバー。繊細でやわらかいメロディと、揺れる感情が重なって、好きなのに素直になれない気持ちが静かに浮かび上がってきます。感情を静かに映し出すような、深みのある1曲です。
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抱きしめたい
Mr.Childrenを代表する名バラード。シンプルな言葉の中に、言葉にできない想いがぎゅっと詰まっていて、誰かを好きになることの美しさや切なさが、やさしく心に届いてきます。聴くたびにあたたかな気持ちに包まれる曲です。
お気に入り:
グッバイ・マイ・グルーミーデイズ
落ち込んだ気持ちを振り払うように、少しずつ前に進もうとする姿が描かれています。グルーミーな日々に「グッバイ」と言う、ネガティブな感情さえも、どこかユーモラスに受け止める視点が魅力。気分を変えたい時に聴きたくなるような、明るさとリズム感が心地いい1曲です。
お気に入り:
DISTANCE
人との距離感をやさしく見つめたミディアムナンバー。近づきたいけど近づけない、そんなもどかしさが心に残ります。誰かを大切に思うときこそ生まれる“距離”の意味を、まっすぐに描いた1曲です。夜の首都高速をドライブしながらのお供にどうぞ。
お気に入り:
車の中でかくれてキスをしよう
どこか秘密めいた雰囲気と、甘い感情が混ざったラブソング。人目を忍んで、でもふたりだけの時間を楽しんでいる様子が微笑ましくて。静かなドキドキが音になったような、やわらかな1曲です。インディーズバージョンは感情が強く出ているのでそちらもおすすめです。
お気に入り:
思春期の夏 ~君との恋が今も牧場に~
ちょっと変わったタイトルに、当時の遊び心がにじむ曲。恋と季節の風景が絡み合う、不器用でまっすぐな青春のひとコマを感じます。忘れられない夏の記憶のような、ほろ苦さと明るさが同居する楽曲です。普段は聴けないJEN(鈴木英哉)のボーカルも新鮮です。
お気に入り:
星になれたら
夢に向かって歩いていく人の背中を、そっと見送るようなアップテンポなナンバー。切なさや孤独があっても、どこか前を向かせてくれる力があります。離れていても、思いがつながってると信じたくなるような人気の高い1曲です。
お気に入り:
ティーンエイジ・ドリーム(I~II)
10代の不安や焦燥感を、そのまま音にしたような曲。夢を追いかける衝動と、思い通りにいかない現実のあいだで揺れる感じがリアルです。少し尖っていて、でもどこか共感してしまうような、若さが詰まった楽曲。
お気に入り:
いつの日にか二人で
恋人との未来を静かに描いたバラード。派手さはないけれど、ひとつひとつの言葉がとても丁寧で、これからを一緒に過ごしたいという気持ちがじんわりと伝わってきます。アルバムのラストにふさわしい、やさしい1曲です。
お気に入り:
『KIND OF LOVE』は、まだ少し不器用で、でもだからこそまっすぐな愛が詰まったアルバム。“恋って面倒で、でも最高”という気持ちが、素直な音と言葉で描かれていて、聴くたびに少しだけ青春がよみがえります。次の一歩へ向かう途中で、ふと思い出したくなるような、そんな1枚です。

Mr.Children「KIND OF LOVE」