音楽レビュー 「Everything(Mr.Children)」

このはじまりに、すべてが詰まってた。
1992年、Mr.Childrenの記念すべきデビューアルバムが発売されました。まだ粗削りながらも、瑞々しさと誠実さにあふれた楽曲が並びます。恋のこと、日々の迷い、まっすぐな言葉とメロディが重なり、これからの歩みを予感させる、“ミスチルはじまり”の一枚です。
アルバム情報
アーティスト
Mr.Children
アルバム名
Everything
リリース日
1992年5月10日
収録曲
- ロード・アイ・ミス・ユー
- Mr.Shining Moon
- 君がいた夏
- 風 ~The wind knows how I feel~
- ためいきの日曜日
- 友達のままで
- CHILDREN’S WORLD
全曲レビュー
ロード・アイ・ミス・ユー
デビュー作の最初を飾るアップテンポのラブソング。恋の終わりを受け入れられず、思い出にしがみつく姿が切なく描かれています。若さゆえの真っ直ぐさと痛みが、そのまま音になったような印象。乾いたサウンドに滲む感情が突き刺さってきます。
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Mr.Shining Moon
恋の駆け引きと戸惑いをユーモアを交えて描いた、軽快な1曲。素直になれない自分と、相手への想いが行き交う様子がテンポよく描かれています。遊び心のあるサウンドと、少し背伸びしたような詞が初期らしくて好印象です。
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君がいた夏
淡くて切ない、まさに“夏の記憶”を描いたラブソング。風や光、匂いまでもが思い出と一緒に蘇ってくるような、そんな感覚があります。初めて恋をしたときの不器用さが、そのまま音になって響きます。ミスチル夏ソングの1つです。
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風 ~The wind knows how I feel~
タイトルのとおり、風のようにやさしく抜けていく爽やかなミディアムナンバー。日々のもどかしさを受け止めながら、それでも前を向こうとする姿が描かれています。等身大で自然体な表現に、デビュー間もない彼らの魅力が詰まっています。
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ためいきの日曜日
憂鬱な気持ちを抱えながら過ごす、そんな日曜日の情景が描かれています。静かなメロディと少し物悲しい歌詞が、気持ちの揺れをそのまま表しています。どこか空虚で、でもちょっとリアル。退屈なTVショーに繋がる大サビの情景は素晴らしいの一言です。
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友達のままで
踏み込めそうで踏み込めない、“友達”という関係のもどかしさを綴った曲。一歩進めば何かが壊れてしまいそうな距離感が、とてもリアルに描かれています。切なくて不器用な感情が、ストレートに響いてきます。
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CHILDREN’S WORLD
遊び心あふれるサウンドと、ちょっと皮肉も込められた歌詞が特徴の1曲。人間関係や日常を“子どもの世界”になぞらえて描きつつ、どこか軽やかに、でも本質を突くような視点が感じられます。ラストを飾るにふさわしい、ミスターチルドレンとしてのはじまりを予感させます。
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『Everything』は、Mr.Childrenの「はじまり」を詰め込んだアルバムです。まだ荒削りな部分もあるけれど、そのぶんだけ気持ちが真っ直ぐ届いてきます。大きな声じゃなくても、誰かの心に届く音があることを教えてくれる7曲。時代が変わっても、何度でも戻ってきたくなる、そんな一枚です。

Mr.Children「Everything」